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電子書籍と出版業界の未来

2010/04/14(水)
Digital Books
ここ最近iPadやkindleの話題が絶えないので、電子書籍や出版業界についてちょっと考えてみた。

本や雑誌の売り上げ低迷と共に、本は音楽業界のCDと同じような運命を辿るだろうといった話を耳にする。確かに、電子化の波は確実にやってくるし、音楽業界同様、出版社や権利ホルダーが利益を吸い上げる構造は崩れるだろう。

純粋な著作権者、というよりは音楽や文字を通して表現をする全ての個人が、発表の場を自由に選択できる時代になったことは嬉しい限りだ。更に、TwitterやYouTube、SNSやブログを通して「表現」を世界に流通させることができる。物理的な媒体では不可能だったことが誰にでも実現できるインターネットの仮想空間では、今までのビジネスモデルは通用しない。

しかし、ここで本が無くなるのか、というとそうではないと思う。
まず、CDと決定的に違うところ。それは、「本は本として機能する」ということだ。音楽はライブ演奏を除いて、必ず再生機器が必要になる。カセットにしろCDにしろ、MDやMP3プレイヤーになっても、音楽は電気がなければ聴けないのだ。しかし本は違う。本さえあれば、どこにいても「本を読む」ことが出来る。アフリカのサバンナにいても、北極の氷の上にいても、それこそ宇宙にいたって本は本として機能してくれる。

電子書籍の話は電気を使えることが大前提となっている。常時電気が安定供給され、インターネットにアクセスできる環境で初めて機能するものだ。もしも(まずないと思うが)世界が一斉に停電になったら、電子書籍はおろかインターネット上の情報は一切意味のないものになってしまう。これは単なる悲観論ではなく、本はデバイスや機能の役割も果たした上であの形であり、記録された情報だけでは計れない価値を持っているということを言いたいのだ。

将来必ず電子書籍を利用すると思うし、新しい技術は積極的に受け入れていきたいとも思っている。しかし、本と電子書籍を同じ天秤には掛けたくない。電気を当たり前のように使える環境や場面ばかりではないということを忘れないためにも。

今後ますます電子化が進み、情報や娯楽はインターネットの世界を中心に回って行くだろう。その時、電気やITといったインフラに依存している状態であることを覚えておかなければならない。「全て」が電子化すると錯覚してしまえば、偏った考え方しかできなってしまうからだ。

新聞や雑誌は日々消費されていくものだから、紙として残しておく必要性は薄い。機能を伴わないものは電子化が進むことは間違いないが、本はなくならない。従来の紙でできた本と電子書籍はしばらくの間共存していくだろう。

少なくとも、私たち人間自身は電子化できない。物理的に呼吸し、「この世界」に生きている。何でも仮想化できると思い込んでしまえば、物事の本質を見失ってしまう。どんなに技術が発展しても、実態がなければ失われてしまう価値がある。それを無くすなどということを簡単には言えないのではないか。

出版社は電子書籍の脅威に翻弄されるのではなく、本は本としての機能と価値があることを上手く主張していくべきだ。電子書籍の分野へは、新しいビジネスの可能性としてこれから参入してくる競合と共に立ち向かえばいい。

問題なのは、過去に作られた流通システムや古臭い著作権の管理方法、“インターネット以前”の法律や、新しい概念を取り入れようとしない既得権者だ。

「本が売れない」と嘆くよりも、問題のある体質をどう改善すれば、ビジネスとして立て直せるのか。そういった方向に考えを向けていった方が未来は明るい。iPadやkindleも、新しい世界への扉として明るく向かえたい。

結局、消費者は環境に応じて便利な方を選ぶだけなんだから。
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